
学校法人鶴鳴学園 長崎女子短期大学
大学 非公開不安障害などで一時的に、対面授業に馴染めず登校が難しくなっている学生を支援するため、長崎女子短期大学は「分身ロボットOriHime」を導入しました。学生は自宅などからリモートで授業を受けることができるだけでなく、手元のスマートフォンを操作することで、OriHimeが教室で手を挙げたり、うなずいたり、拍手をしたりといった反応を示します。
従来のオンライン授業では一方通行になりがちですが、OriHimeが教室で反応することで、学生本人と教員、他の学生とのコミュニケーションが取りやすくなると期待されています。大学では来年度の本格導入を目指し、現在、実証実験を進めています。
【導入のきっかけ】
新型コロナ禍をきっかけにリモートでのやりとりが増えたこともあり、教員や他の学生と直接顔を合わせる授業に精神的な不安を抱える学生の姿が見られるようになりました。出席が難しくなり、休学や退学に至るケースもあります。そうした困難を抱える学生を支援しようと、橋本剛学長が着目したのが「分身ロボットOriHime」です。パソコンなどのモニター越しのやりとりと比べ、人間の形をしてリアクションができるため、学生がその場にいるかのような存在感を生み出します。手ぶりなど非言語コミュニケーションが可能なことも、会話が困難な時期を乗り切ることに役立ちます。自力での移動はできませんが、自力での移動はできませんが、周囲の学生がOriHimeを抱えて教室間を移動させることで、学生同士のつながりがより深まることも期待されています。
【今後に向けて】
まずは学生サポーターの協力を得て、すべての教室で安定して作動するかどうかなどを確認する実証実験からスタートします。今後は、希望者からの相談を踏まえて、授業への導入を進めていく予定です。
OriHimeを通じて出席することで、学生が少しずつ対面授業に慣れ、教室に復帰していけるよう支援することを目指しています。橋本学長は「一時的に授業に来られなくても、学びをやめることなく、やめずにいられる短大を目指したい」と話しています。
【取材を通じて】
この記事をお読みいただいた皆さまに、誤解のないようお伝えしたいのは、長崎女子短期大学における本施策は、「対面授業が苦手な学生を集めるために用意されたものではない」という点です。あくまで、対面授業を前提とした(キャンパス型の)大学を選んだ学生が、もともと抱えていた、あるいは新たに生じた不安障害やパニック障害など、「どうしても対面での通学が困難な状況」を乗り越えるための手段として導入されたものです。その背景には、一時的な困難を乗り越えることができれば、再びリアルな学びの場に戻ってこられる学生もいるというが考えがあります。今回の取り組みも、そうした学生たちを支援するための施策の一つとして、実施していただいております。